京浜港共同ビジョンの策定
平成22年5月25日
1 京浜港共同ビジョンとは
- ■京浜港共同ビジョンの位置づけ
- ◇ 「京浜三港の広域連携強化に係る基本合意」(平成20年3月)に基づき、今後の京浜港の実質的な一港化に向けた港湾経営と港湾整備の方針を示すものとして策定しました。
- ◇ 今回策定した京浜港共同ビジョンの方向性に基づき、今後、各港の港湾計画の基本となる「京浜港の総合的な計画」の策定を進めていきます。
【参考】~京浜三港の広域連携強化に係る基本合意~
東京都、川崎市、横浜市は、アジア諸港の躍進等により、日本港湾の国際的地位が低下していくなか、積極的な対策を講じなければ、東京港、川崎港及び横浜港が世界の基幹航路から外れ、我が国経済に与える影響は極めて深刻であるとの危機感から、東京湾の国際競争力を強化するため、一層の連携を推進することとし、平成20年3月21日に基本合意を締結しました。
2 京浜港の現状と問題点
- ■「総合港湾」としての京浜港
- ◇ 東京港、川崎港及び横浜港からなる京浜港は、南北に約40km、東西に約8kmにわたる帯状の空間であり、陸域(臨港地区)および水域(港湾区域)を併せて約2万haの管理エリアを有しています。
- ◇ 京浜港は、首都圏4千万人を支える物流拠点であるとともに、多様な機能を備えた「総合港湾」として、背後圏の住民生活や我が国全体の経済・産業活動に広く貢献しています。
- ■京浜港の抱える問題点
- ◇ 中国をはじめとするアジア諸港の躍進により、我が国港湾全体の国際競争力が大きく低下し、基幹航路の寄港数が減少しており、このままの状態が続けば、京浜港がフィーダーポート化する恐れも否定できません。
○ 厳しい競争に晒される船会社が、コスト削減と運航効率向上に向け、基幹航路における大型船の投入と寄港地の絞込み
○ 国内製造拠点の海外移転
○ アジア地域の経済発展
○ 世界の生産拠点となったアジア地域から欧米等最終消費地へのダイレクト輸送増加
○ 60を超えるコンテナ取扱港の整備
○ 脆弱な国内輸送ネットワークと割高な輸送コスト
※フィーダーポート化の問題点
積替えによる輸送日数の増加や輸送・在庫コストの増加により製品価格が上昇するなど、産業活動や住民生活に重大な支障を及ぼす恐れがあります。
3 京浜港の経営の基本的な考え方と将来像
- ■京浜港経営の基本的な考え方と将来像
- ◇ 京浜港が、我が国を代表する港湾として「国際競争力を強化」し、「利用者から選択される港湾」を実現するため、次の方向性に基づき、三港での連携を強化し、利用者のニーズに即応した港湾経営を進めていきます。
4 京浜港の将来像の実現に向けた基本戦略
■貨物集荷策、港湾機能向上策の展開
◇ コンテナ物流面においては、3つのターゲットの実現を目指し、基幹航路の寄港維持・拡大に必要な貨物集荷策を推進するとともに、総合港湾としての機能向上策を展開していきます。
利用者の意見や要望を踏まえ、規模の利益や効率性を追求し、コスト低減策を実施します。
- 国際トランシップ貨物及びローカル貨物の集荷に向けた優遇策拡充
インセンティブ制度について、京浜港での一元的な適用や内容の充実を図ります。 - タグボート基地の効率的な配置により港湾利用コスト低減
タグボート基地を効率的に配置し、コスト低減を図ります。
国内貨物輸送ネットワークを強化し、国内コストの低減や輸送効率の改善を図っていきます。
- 国内各港との連携強化など
内航フィーダー輸送の拡大を図るため、国内各港と連携し、入港料や施設使用料の相互減免などを実施します。 - 鉄道輸送促進のための環境整備
鉄道輸送を利用したコンテナ貨物のターミナル優先入場等、優遇策を導入し、利用促進を図ります。 - 3環状道路や国道357号の整備促進の要請
事業中・未整備区間について、国に対し整備を働きかけます。
三港の一体化に伴うネットワークの強化や港湾機能、ロジスティクス機能の向上を図っていきます。
- コンテナバージを利用した湾内輸送の拡充・強化
バージ施設等の整備(定系地等)や優遇策の導入を図るなど、コンテナバージを利用しやすい環境を構築します。 - コンテナターミナル前の混雑の緩和
道路状況の情報提供を充実するとともに、ターミナル事業者と共同で、混雑緩和に向け取り組みます。 - 港湾諸手続きの一元化に向けた対応、京浜港統計の発信>
三港共同で、次世代シングルウィンドウへの早期対応や共同ポータルサイトの設置、分かりやすい京浜港統計の発信等を行っていきます。 - 共同バンプールの設置
物流の効率化を図っていくため、京浜港内における空コンテナ調節基地としての共同バンプールを設置します。
■合理的かつ効果的な施設及び機能の配置
京浜港が真の総合港湾として発展していくため、交通基盤の整備など、湾内輸送網の充実を図り、三港を一体化する。
既存施設の有効活用や、新たな空間開発を視野に入れ京浜港がより一層使いやすい港となるよう、適切に配置します。
多様かつ高機能な港湾施設が集積しるため、既存施設の有効活用を重視
・補強や改良等による機能強化
・利用・機能転換による利便性の向上
・機能更新の機会を捉えた創出
・京浜港の全面海域の埋立などによる創出
■広域的な課題への的確な対応
◇ 京浜港では地球温暖化防止などの環境対策や大規模災害への対応など、広域的な課題について、現在の取組みを踏まえながら、連携を推進し、効率的かつ効果的に対応していきます。
■京浜港の一体的な経営の推進
◇ 京浜港が世界の主要港と伍していくため、三港の一体化によるスケールメリットを生かした効率的で、機動性の高い管理運営体制の構築を図っていきます。
当面は実質的一港化を進めつつ、将来のポートオーソリティ(PA)の設立を視野に入れた取組みを進めていきます。
5 今後の進め方
今後は、京浜港連携協議会において三港の連携強化に向けた検討を深めていき、平成23年度を目処に各港の港湾計画の基本となる「京浜港の総合的な計画」を策定するなど、京浜港の将来像の実現に向けた取組を進めていきます。
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