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荷主・物流企業の皆さまへ ~東京港の物流効率化に向けた取組~

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物流効率化に向けた施策

なぜ今、東京港の物流効率化が必要か

 東京港は、日本と世界をつなぐ玄関口として、企業の産業活動や消費者の暮らしを支える国際貿易港です。外貿コンテナ取扱量は、全国の4分の1、東日本全体の約6割を占めており、貿易額は約23兆円と国内港湾では最も多く、日本経済を牽引する重要なインフラとしての役割を担っています。
 東京港が日本の重要な物流拠点としての役割を果たし続けるため、貨物量の増加や船舶の大型化に対応できる港湾施設の整備を進め、荷主や船会社にとって利便性の高い港としていくことが重要だと考えています。
 このため、都は、大型船が係留できる新たなコンテナふ頭の整備や、既存ふ頭の再編整備などにより施設能力の向上を図り、東京港をさらに競争力の高い港へと進化させる取組を続けています。
 そうした日本の主要港である東京港は、今、新たな対応を求められています。

 背景にあるのは、「物流の2024年問題」です。
 トラックドライバーに対する時間外労働の短縮により、何も対策を講じなければ、2024年度に14%、2030年度には34%の輸送能力が不足し、物流が停滞することが懸念されています。
 日々、コンテナ輸送のためにトラックが行き交う東京港としても、喫緊の課題です。改正物流法に掲げられ、荷主企業に求められている「荷待ち・荷役時間の短縮」は、港湾も例外ではありません。

 物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン(国土交通省)

東京港における「物流の2024年問題」への取り組み

 東京港では、貨物処理能力を大幅に超える外貿コンテナ貨物を取り扱っていることや、東京港に貨物を引取りに来たトラックが特定の時期や時間帯に集中する傾向があることなどが原因となって、コンテナターミナル周辺で待機車両による交通混雑が発生し、長年の課題となっていました。
 そのため、コンテナふ頭の新設や貨物の一時保管場所の開設、ゲートオープン時間の前倒しなど、ハードとソフトの両面から取り組み、取扱貨物量は増加傾向にあっても、車両待機の車列の長さはピーク時から7割削減し、これに伴い待機時間についても短縮しています。

 しかしながら、時間帯や時期によっては、今なお、ゲート前混雑が発生しています。
 輸入港としての特性が強い東京港では、荷主に商品を朝一で納品する商慣行から、依然として、納品前日の夕方に搬出が集中してしまう傾向があるためです。
 そこで、集中するコンテナ車両の来場時間の分散化を図るため、車両混雑状況の見える化を進め、トラックに専用GPS端末を搭載し、位置情報を把握、車両の待機時間をリアルタイムで公表しています。
 さらに、コンテナ搬出入の予約制も段階的に実施・拡大しています。予約制の開始に際しては、新・港湾情報システム「CONPAS(コンパス)」を導入しています。
 東京港のゲート前混雑解消に向けた取組は進んでいますが、物流の2024年問題に対応するためには、トラックの待ち時間削減に向け、更に取組を加速していく必要があります。
 東京港、荷主企業、物流企業において、荷待ち時間の短縮は共通の課題です。ひいては輸送定時性の向上、輸送力の確保にもつながります。日本企業の競争力を維持向上するためにも、持続的な物流の未来を見据え、さらなる効率化が必要です。 
 ここで東京港は課題解決の鍵として、「オフピーク搬出入」と「モーダルシフト」を提案します。

オフピーク搬出入プロジェクト

 東京港では、コンテナターミナルが混雑する午後や夕方のピーク時を避けて、コンテナを搬出入する「オフピーク搬出入」を推進しています。
 令和6年9月からは、「東京港オフピーク搬出入モデル事業」として、公募で選定された荷主企業と物流企業の連合グループがプロジェクトに取り組みます。

 プロジェクトでは、荷主企業の最寄りデポと東京港デポ間のコンテナ輸送を、交通量の少ない夜間に行い、コンテナターミナルのオフピークである午前中に、東京港デポとコンテナターミナルとの間でピストン輸送を行います。
 この取り組みにより、コンテナターミナルのゲート前待機時間の削減、トラック輸送の定時制や生産性向上などを高める効果が期待できます。

モーダルシフトの推進

 コンテナの国内輸送におけるモーダルシフトも推進しています。物流の2024年問題の中でも、特に輸送力不足が懸念されているのがトラックの長距離輸送です。
 東京港は、日本各地からの内航フィーダー航路が充実しており、全国へコンテナの海上輸送が可能です。また、陸路では、日本で唯一、40フィートハイキューブコンテナを東北地方へ定期輸送できる「東京貨物ターミナル駅」にも近接しているため、鉄道輸送との連携も可能です。
 鉄道や船舶へのモーダルシフトは、長距離輸送におけるトラックの代替手段として有効であり、環境にもやさしい取り組みとして注目を浴びています。

持続可能な物流の未来に向けて

 環境や社会課題に対する取り組みは、企業としての評価や価値に直結します。
 物流を物流企業が一手に担ってきた時代から脱し、荷主企業と物流企業が連携し、オフピーク搬出入などサプライチェーン全体で輸送の効率化を図ることが、企業の競争力強化に繋がります。
 また、モーダルシフトは、取引先や投資家から信頼を得るため、脱炭素化などのESG経営に取り組む企業にとって、有効な取組です。
 持続可能な物流の未来に向けて、荷主企業や物流企業にとって東京港がビジネスの最良のパートナーであり続けるために、オフピーク搬出入やモーダルシフトへの取組にご協力をお願いします。

記事ID:019-001-20241105-009666